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【学校司書だより④】女子高校生にオススメの女性科学本

【学校司書だより④】女子高校生にオススメの女性科学本

こんにちは。埼玉県立浦和第一女子高校(浦和一女)で、学校司書をしている木下通子(きのした・みちこ)です。 

このコラムでは、高校図書館の「学び」への取り組みや、学校司書の仕事、そして高校生へのおすすめ本をお伝えしていきます。

上野千鶴子先生がやってきた

あっという間に12月も残り10日を切り、2019年も終わろうとしています。年の瀬だからというわけではないでしょうが、うちの図書館もいろいろな動きがありました。 

 

本校は、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定校だけでなく、SGH(スーパーグローバルハイスクールの指定校となっており、11月29日には体育館で、東京大学名誉教授、ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長の上野千鶴子先生によるSGH全校講演会「シンポジウム『私が決める未来』」が開催されました。 

講演会は2部構成で、第1部では、「あなたたちを待っているのはどんな社会か」という題で上野先生による基調講演があり、なぜ東大女子が2割を越さないのか、女性の非正規雇用、これから女子の生きる道、東大の入学式祝辞で言いたかったこと等のお話がありました。 

第2部は、上野先生と本校生徒5名によるパネルディスカッション「もし私があの場にいたら~2019東京大学入学式」が行われました。不正入試問題、女子力、ステレオタイプなど生徒たちの意見に上野先生の鋭い質問がとび、活発な議論が繰り広げられました。

上野先生をお迎えするにあたって、図書館も著作コーナーやブックリストを作り、講演を聞きディスカッションをする準備をしました。事前に本を借りて読んだ生徒もいましたが、やはりお話を聞いたあとの方が生徒の心に言葉が響き、講演でご紹介された本の貸出・予約が増えました。上野先生はご自分の著作以外にも本を紹介されたので、本校図書館で所蔵していない本については、すぐに注文を出しました。

 

上野先生の著者で、図書館用にサインをいただいたのが、『情報生産者になる』(ちくま新書です。研究者としての長いご経験の中で、価値のある情報を生産し、発信する側になるためにはどうすればいいかがまとめられている本です。情報とはなにかという基礎基本から、仮設の立て方、インタビューの方法など具体的な研究の進め方、そして、論文の書き方まで一冊にまとめられています。上野先生の語り口がまたやわらかで読みやすい。少し厚めの新書ですが、ぜひ、読んでみてください。

情報生産者になる

上野千鶴子/著

筑摩書房

2018年

SGHでジェンダーについて研究していたチームの生徒たちが図書館で展示をさせてください!」と言ってきたのは、上野先生の講演会が終わったあとでした。先生のお話にも刺激を受け、自分たちが学んだことを表現したいと声をかけられました。どうせなら、図書委員とコラボレーションでと、本の展示もあわせてすることになり、研究グループの生徒は図書館のエントランスを使って、【固定観念を捨てよう!】という展示を作りました。生徒たちの中から、未来の研究者が生まれるかもしれません。

展示会1

展示会2

展示会3

科学する女性

医学部の不正入試の問題もありますが、女性が学ぶこと、特に科学の分野で研究者となることは、いまでも難しいことです。科学道100冊2019では、科学する女性というテーマで18冊の本が紹介されています。今回はそこから、2冊の本を紹介しますね。

 

まず、一冊は『世界を変えた50人の女性科学者たち』(創元社)見開き1ページでキュリー夫人のように誰でもが知っている科学者から、20世紀に活躍している最近の科学者まで、生い立ちから研究成果までわかりやすくまとめられています。イラストもポップでかわいくて、小学校高学年から手に取れる本です。

世界を変えた50人の女性科学者たち

レイチェル・イグノトフスキー/著

創元社

2018年

もう一冊は、『研究するって面白い!』伊藤由佳/編著 岩波ジュニア新書。こちらは、現在も活躍中の日本人女性科学者11人を紹介している本です。 

編著者の伊東由佳理さんも、数学者。女子中高生向けの数学の公開講座で講演したことをきっかけにこの本が生まれたそうです。伊藤さんご本人も進路選択に悩み、工学部に行こうか悩んだそうですが、理学部に進学し、数学の研究をすることになります。数学、医学、化学、薬学、生物学など理系の専門分野で活躍する女性が、どうやって研究者になったか、読み解ける本です。

研究するって面白い!

伊藤由佳里/編著

筑摩書房

2018年

探究するってなんだろう

12月11日に京都大学の学びのコーディネーター授業で、高校生に出前授業をしてくれる大学院生が来校され、図書館で【理系と文系の間に】という授業が行われました。 

授業を担当された土田さんは、現在、京都大学大学院で災害について研究されている方ですが、自分が研究したい領域が文系なのか理系なのかわからず、高校時代、どの学部を受けるかで悩んだそうです。2年生修学旅行中の特別編成授業で、1年生の希望者に向けた授業だったので、ミニにワークショップをはさみながら、自分たちが興味ある課題について、グループでワークをしました。 

学びのコーディネーター

第2回で紹介した「海のめぐみ展もそうですが、いま、高校と大学、学校と企業など、多様な学びが広がっています。校内で取り組んでいるさまざまなチャレンジに、図書館も本を通じて協力できて繋がっていけたら、子どもたちの学びも深くなると思います。 

 

年内のコラムはこれでおしまいです。みなさま、よいお年を! 

来年もよろしくお願いします。 

木下通子(きのした・みちこ)

1985年に埼玉県の司書採用試験に合格し埼玉県の高校司書となる。現在、埼玉県立浦和第一女子高校担当部長兼主任司書。ビブリオバトル普及委員、埼玉県高校図書館フェスティバル実行委員長などを兼務し、図書館関係の活動に携わっている。著書に『読みたい心に火をつけろ!――学校図書館大活用術 (岩波ジュニア新書)』ほか。