menu

【学校司書だより②】高校図書館で「海のめぐみ」を学ぼう。

こんにちは。埼玉県立浦和第一女子高校(通称:浦和一女)で、学校司書をしている木下通子です。

 

このコラムでは、高校図書館の取り組みや、学校司書の仕事、そして高校生へのおすすめ本をお伝えしていきます。

「教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます!展」

学校では2学期が始まりました。文化祭も終わり、ちょっと一息つく時期、9月19日(木)から10月2日(水)にかけて、浦和一女の図書館では、「教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます!展」を開催しました。

 

この展示は、お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンターが日本財団の助成を受けて行っている「海洋教育促進プラグラム」の一環です。教育実習に来たお茶の水女子大学に通う卒業生が、生物科の先生に話を持ちかけてくれたことから実現した企画です。

教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます!展

「私たちは知らないうちに海のめぐみをたくさん食べています。でも、そうして食べた海のめぐみが、海の中でどんな姿なのか、どうやって食べものの姿になるのかを知っていますか?」―こんな問いから展示は始まります。

 

身近な水産物をテーマにした学校の教室1つサイズの巡回展として、これまでも全国の小・中・高校や公共施設を巡回してきたそう。「展示をしたい!」とウェブサイトから申し込むと、運搬・組み立てしやすいパッケージを貸し出してくれます(先着順)。

https://uminomegumiwoitada.wixsite.com/itadakimasu

 

教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます!展

パンフレットはこちらからDLできます。

教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます!展

図書館だからできるコラボレーション

写真を見ていただくとわかるように、とても大きく立体的な展示で、図書委員といっしょに作業し、段ボールを組み立てるのに2時間半くらいかかりました。

 

ちょうど教室ひとつ分のスペースに全部の展示が収まるようになっていますが、うちの学校では図書館で開催したので、館内のいろんな場所に設置して本もあわせて展示しました。

 

展示といっしょに関連図書を紹介することで、ふだん手に取らない本を手に取ることができたと、展示を見た先生や生徒から反響がありました。

教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます!展

教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます!展
アサリの展示のところには、アサリの研究で有名な日テレアナウンサー、桝太一さんの『理系アナ桝太一の生物部な毎日』を紹介。

大学講師による特別講演も!

また、9月25日には、この展示を企画しているお茶の水女子大学の渡辺友美先生を講師に、展示作成の裏話や進路についての特別講義をしていただきました。

 

展示に使っている海の生物は、全部、渡辺先生が海中や海辺で集めてきた物と聞いてびっくり! プロジェクションマッピングなどの手法も、いままで東京国立博物館の展示や、映像関係のお仕事をしてきたノウハウを活かして考えたそう。生徒からは、将来、「水族館で働きたいのですがどんな大学に進めばいいですか?」「イルカの研究をしたいのですが…」など、リアルな質問が出されました。

高校生と楽しむ「海の生きもの」の4冊

さて、今月はそんなことで、展示をする中で生徒といっしょに楽しんだ本を紹介します!

まず、外せないのが、『せいめいのれきし』です。

せいめいのれきし

バージニア・リー・バートン/著

せつめいのれきし

岩波書店

2015年

この本は1964年に出版された本ですが、いまも読み継がれています。絵本にしては字が多いのですが、小さい子どもから大人まで楽しめる本で、研究者が関わって作られた専門的な本です。最後のページは読者へのメッセージ。

 

「主人公は、あなたがたです。」と、私たちいまを生きる人間にバトンをつないでくれています。

寿命図鑑―生き物から宇宙まで万物の寿命をあつめた図鑑

やまぐちかおり/絵 いろは出版/編著/著

寿命図鑑

いろは出版

2016年

ちょっと笑える見て楽しい本として紹介するのは、『寿命図鑑』。語り手は神様で、神様が動物やモノの寿命を教えてくれる構成です。

 

地球の7割を占めている海の生きもので、いちばん寿命が短いのはチョウチンアンコウで1年、いちばん寿命が長いのはサンゴ。サンゴは数世紀も生きるんですって!残念ながら展示にあった「カツオ」「アサリ」「ワカメ」は載っていなかったけど、ワカメの友だちマコンブは、2.5年だそうです。

 

この本がおもしろいのは、モノの寿命も載っていること。お相撲さんのまわしとか、入れ歯の寿命なんて、考えたことありますか!?寿命が何年かは、ぜひ、本を見てね。

ほぼ命がけサメ図鑑

沼口麻子/著

サメ図鑑

講談社

2018年

世界で唯一の「シャークジャーナリスト」として、世界中のサメを取材している女性が書いた話題の本です。サメにまつわるQ&Aから、体当たりサメ図鑑として、実際に著者が体験したサメとの格闘エピソード。

 

サメから身を守る方法から著者が主催する【サメ談話会】で出会った好きの若者を紹介するコーナーまで、サメに対する愛が満載の本です。

クジラのおなかからプラスチック

保坂直紀/著

クジラのおなかからプラスチック

旬報社

2018年

今月最後の一冊は、『クジラのおなかからプラスチック』。海のプラスチックゴミについては、世界中で問題になり、ニュースでもたくさん取り上げられていますよね。

 

この本は小学生向きの本ですが、とても具体的にこの問題との向き合い方を教えてくれている本です。プラスチックってなに?というところから始まって、プラスチックゴミの問題点、プラスチックゴミを減らすために私たちになにができるかということを、提案してくれています。

 

私がいいなあと思ったのは、この問題を自分のこととしてとらえるために書いてある153Pからの文章―よき「市民」になれと、哲学的なことが書いてあります。理系の知識にとどまらず、倫理的なことを説いているのが心に滲みます。ぜひ、大人のみなさんも読んでみてください。

木下通子(きのした・みちこ)

1985年に埼玉県の司書採用試験に合格し埼玉県の高校司書となる。現在、埼玉県立浦和第一女子高校担当部長兼主任司書。ビブリオバトル普及委員、埼玉県高校図書館フェスティバル実行委員長などを兼務し、図書館関係の活動に携わっている。著書に『読みたい心に火をつけろ!――学校図書館大活用術 (岩波ジュニア新書)』ほか。