こんにちは。埼玉県立浦和第一女子高校(浦和一女)で、学校司書をしている木下通子です。
このコラムでは、高校図書館の「学び」への取り組みや、学校司書の仕事、そして高校生へのおすすめ本をお伝えしていきます。
コロナウィルス感染防止の分散登校
みなさん、どう過ごされていますか? まさかこんな3月になるとは思いませんでした。
埼玉県では、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、3月2日から春休みまでの間、県立中学校と高校が休校になりました。学校だけでなく人が集まるテーマパークやイベントが中止になり、街の図書館や公共施設もあわせて休館。
そんな中、教育産業や出版社からのウェブサイトでの情報発信が活発になっています。文部科学省も3月2日に「子供の学び応援サイト~臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト」を開設。詳しくは、文部科学省の「臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト(子供の学び応援サイト)」をご覧ください。
各出版社も続々と、電子書籍の無料配信を始めました。
うちの学校も休校にあわせて、学年末考査が無くなりましたが、3月9日・10日は1・2年生の分散登校がありました。
図書館では感染対策として、入室前の手洗い、手の消毒、マスク着用を呼びかけ、ホームルーム後の30分限定で図書の貸し出しを行いました。
天気もよかったので窓を開けて換気を徹底。課題としてだされる英語の多読本は、ノンフィクションだけブックトラックにいつものコーナーから離して置くことで生徒の混雑をさけました。滞在が30分限定で本を選ぶ時間もないと思ったので、机上にオススメの小説や気軽に読めるエッセイ、娯楽本を並べ、読みたい本がすぐに選べない人はここから借りてねと伝えました。
生徒たちからは、「市立図書館が閉まっているので、本が借りられてうれしい」「続きが読みたかったから、図書館が開いていてよかった」「暇でどうしようかと思っていたので助かった」などのうれしい言葉をいただき、2日間で約2000冊の貸出がありました。
こんな時こそ、活字の力を感じます。新年度準備のための分散登校が3月下旬に予定されているので、そこでもまた貸出を行いたいと思っています。
図書だよりでのサイト紹介
この登校日にあわせて、おたよりも出しました。
普段は図書館に入った新しい本を紹介するために新着図書案内を発行していますが、先生方とも相談し、今回はこういう時だからこそ使ってほしい検索ツールを紹介しました。
いま、SNSの世界ではたくさんの情報が流れています。この機会に国のホームページを見てもらおうと、紙面で次のサイトを紹介しました。
紹介したページは次の6つです。
首相官邸:感染症対策特集
詳しくは、ホームページ「首相官邸:感染症対策特集」をご覧ください。
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
詳しくは、ホームページ「厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について」をご覧ください。
外務省:海外安全ホームページ
詳しくは、ホームページ「外務省:海外安全ホームページ」をご覧ください。
NIID 国立感染症研究所:コロナウイルス感染症
詳しくは、ホームページ「NIID 国立感染症研究所:コロナウイルス感染症」をご覧ください。
NHK NEWS WEB:特設サイト 新型コロナウイルス
詳しくは、ホームページ「NHK NEWS WEB:特設サイト 新型コロナウイルス」をご覧ください。
世界保健機関WHO: Coronavirus disease (COVID-19) Pandemic (英文表記)
詳しくは、ホームページ「世界保健機関WHO: Coronavirus disease (COVID-19) Pandemic (英文表記)」をご覧ください。
国立国会図書館サーチ
そして、本校で契約している有料データーベースが3月31日まで自宅でも使える臨時パスワードを提供してくれたので、そのサイトを案内したほか、「国立国会図書館サーチ」の使い方を説明しました。
「国立国会図書館サーチ」は、国立国会図書館をはじめ、全国の公共図書館等が提供する資料、デジタルコンテンツを統合的に検索できる総合サイトです。たとえば「新型コロナウイルス」で検索してみると、コロナウイルスに関する記事が掲載されています。詳しくはホームページ「国立国会図書館サーチ」をご覧ください。
下の画像は3月30日に検索した時の画面です。今後は記事数がもっと増えていくかと思います。ぜひ、検索してください。
「国立国会図書館サーチ」には、リサーチ・ナビという調べ方を案内してくれるページがあります。詳しくは「リサーチ・ナビ 国立国会図書館」を見てください。
ここで「コロナウイルス」と検索すると、下図のようなマッピングシートがでてきます。事柄と事柄の関係性を考えながら、関連項目を出していくと必要な情報の全体像がわかります。芸能人の名前など個人名でも検索してみてください。人物調べをする時に、発想が広がります。
検索するとき、参考文献が掲載されていたり、著者が典拠を示してくれる便利なWebサイトを使うことが多いと思います。この機会にデーターベースを活用して、発想を広げてください。
SNSはとても便利なコミュニケーションツールですが、情報を得たいときには正しい情報かを見極める力をつけましょう。
こうしたおたよりを生徒が活用し、情報の幅を広げたり正しい情報を見極める力を養ってくれることを願っています。
感染症についての本
さて、最後に感染症に関する本を2冊紹介します。
一冊は、入門書として感染症についてわかりやすく解説してくれている『正しく怖がる感染症』です。この本では、感染症を「昆虫が運んでくる」「接触することでうつる」「飲み込んでうつる」など経路別に、代表的な感染症をとりあげて説明しています。
いま世界を震撼させている新型コロナウイルスは、まさに「吸い込んでうつる感染症」で、人類がいままでかかってきた感染症の歴史がひもとかれています。
もう一冊は、『ウイルスは悪者か』です。
こちらは、感染症の解説本というより、情熱大陸でも取材された著者の髙田さんとエボラウイルスとの闘いの記録で、実際にフィールドワークとしてジャングルに分け入る様子が描かれています。
読み物として読みやすいので、理系の本が苦手な人にもおすすめ。「ウイルスには罪がない」という著者の熱い思いを感じてください。
さて、いまも、学校の休校が続いていますが、私は先生方といっしょに、新学期の準備中。
そうそう、先生方も大切なお客さまとしてこの機会に本を読んでもらおうと、先生方向けの本を並べたブックトラックを会議室前の廊下にだしました。毎日、少しずつ本を変えて楽しんでもらっています。
早くこの状況が落ち着いて、無事に新学期を迎えられますように。