【おすすめの科学絵本⑬】「古生物・化石」の世界を知る10冊

【おすすめの科学絵本⑬】「古生物・化石」の世界を知る10冊

このコーナーでは、幼いお子さんから小学生のための科学の本を紹介します。

 

今回は「古生物・化石」をテーマに、できるだけ子どもが手に取りやすい本を選びました。アンモナイトや三葉虫、そしてなんといっても子どもに人気なのは恐竜化石ですから、恐竜のおもしろさがいきいきと伝わる本も多く選んでいます。

 

古生物・化石の研究は日進月歩。次々と新しい事実が明らかになるので、情報はどんどん変わっていくということを前提にお楽しみください。

(科学読物研究会 西村寿雄)

 

化石でわかるマンモス

マンモスの謎

アリキ/作 千葉茂樹/訳 小畠郁生/監修

マンモスの謎

あすなろ書房

1997年

ゾウの仲間であるケナガマンモスはかつて氷上で暮らしていたが、やがて現れた人類によって絶滅した。

 

100年ほど前に氷の中からマンモスの化石が見つかってから、当時の生活や狩猟の様子が明らかになってきた。昔から親しまれている名著。

 

見た目は似ていても大違い!

のんびりオウムガイとせっかちアンモナイト

三輪一雄/作・絵

のんびりオウムガイとせっかちアンモナイト

偕成社

2006年

人気の化石・アンモナイトと、「生きている化石」と呼ばれるオウムガイは、どちらもうずまき貝殻で見た目はそっくり。イカやタコと同じ仲間だが、大昔に起こった地球の大事件で明暗がわかれた。

 

勢力争いの結果、アンモナイトは絶滅したが、オウムガイは深い海に棲んでいたため生き残ったのだ。太古の海の様子が大胆な絵で描かれている。

 

実物が見たくなる一冊

アンモナイトと三葉虫

子供の科学編集部/編

アンモナイトと三葉虫

誠文堂新光社

2012年

たくさんの化石が残されているアンモナイトと三葉虫。この本では、さまざまな種類のアンモナイトの仲間たち、三葉虫の仲間たちを紹介。どんな特徴があるのか、大きな標本写真とともに詳しく書かれている。

 

この本を読んでから博物館や科学館で実物を見ると、化石の魅力をより実感できるだろう。

 

知られざる「ほうさんちゅう」の魅力

ほうさんちゅう

松岡篤/監修 かんちくたかこ/文

ほうさんちゅう

アリス館

2019年

「ほうさんちゅう」とは耳慣れないかもしれないが、海の中に生きているとてもとても小さな生き物だ。漢字では放散虫と書く。

 

ほうさんちゅうの骨や殻の成分はガラスと同じもの。顕微鏡で見ると複雑な形をしていて、とても美しい。ツノやトゲは千差万別だ。死がいが集まるとチャートという石にもなる。

 

はかなくも美しいほうさんちゅうの魅力を、大きな写真でたっぷり見せてくれる一冊。

 

壮大な骨の物語

ながいながい骨の旅

松田素子/文 川上和生/絵 桜木晃彦、群馬県立自然史博物館/監修

ながいながい骨の旅

講談社

2017年

「骨がたどってきた、ながいながい旅の、おはなしです」とはじめに書かれている。

 

地球誕生の後に細胞のある生物が生まれ、その後、背骨のある生物が誕生した。これが約4億4400万年前のお話。それから魚が生まれ、陸上動物が生まれ、私たち人間につながっている。壮大な骨の物語。

 

お母さんのお腹の中から始まった、自分の骨にも思いを馳せてみよう。

 

★一緒にすすめたい本

『13800000000ねんきみのたび』 坂井治/さく・え 斎藤俊介/イラスト原案 倉持利明/監修 光文社 2018年

宇宙誕生から生命誕生にいたる歴史がわかる一冊。

 

恐竜に興味をもったら

恐竜

ダン・グリーン/文 サイモン・バシャー/絵 池上理恵/訳

恐竜

玉川大学出版部

2013年

恐竜の食べ物や生活、体の特徴などがわかるユーモアあふれる図鑑。

 

それぞれの恐竜キャラクターが自分の言葉で思い思いに語っているので親しみが持てる。大きな挿絵も魅力で、恐竜が発見された年や場所、名前の意味、生きていた年代なども一覧できる。

 

年々進歩する恐竜研究に興味があれば、他の本と見比べてみるのもおすすめだ。

 

まんがで楽しむ恐竜

まんが 冒険恐竜館〈1〉 恐竜の世界へ

伊東章夫/作 真鍋真/監修

まんが 冒険恐竜館〈1〉 恐竜の世界へ

新日本出版社

2014年

作者の伊東章夫さんは古くから科学や歴史のマンガを描いている達人である。この本は恐竜学者の真鍋真さん監修による冒険物語だ。

 

三人の子どもが、恐竜館にまぎれ込んでいろいろな恐竜に出会うことから話が始まる。恐竜の暮らしぶりが大胆に描かれていて、読者は三人といっしょに驚き、発見する旅ができる。

 

恐竜好きにおすすめ

世界恐竜発見地図

ヒサクニヒコ/絵・文

世界恐竜発見地図

岩崎書店

2017年

恐竜マニアのみなさんにうってつけの本。世界のどこにどんな恐竜がいたのかがわかる恐竜地図だ。

 

近年、恐竜化石の発掘はますます盛んになり、各大陸にこれだけの恐竜がいたのかと驚かされる。北極、南極大陸はもちろん、日本でもたくさんの化石が見つかっている。

 

巻末の恐竜化石発掘の歴史も必見だ。

 

恐竜は今も生きている?!

恐竜は今も生きている

富田京一/著 下田昌克/絵

恐竜は今も生きている

ポプラ社

2015年

「恐竜は今も生きている」と著者はいう。

 

近年、恐竜化石があちらこちらで発掘されるにつれ、「羽毛」の生えた恐竜の存在が当たり前になってきた。実は、体のつくりは鳥も恐竜も同じ。鳥は恐竜の子孫なのだ。

 

この本を読んだらカラスも恐竜の一種と思えるかもしれない。大胆でカラフルな絵も楽しめる一冊だ。

 

あなたの発見が博物館のきっかけに?

恐竜ガールと情熱博士と

祓川学/著

恐竜ガールと情熱博士と

小学館

2020年

これは多くの恐竜化石を展示する「福井県立恐竜博物館」の誕生物語である。福井県立恐竜博物館建設のきっかけは、ひとりの少女による恐竜化石の発掘だった。

 

実は日本での恐竜化石発見の歴史でも、小・中学生の恐竜化石発掘が元になったことが多いのをご存知だろうか。子どもたちの夢が広がる一冊だ。マンガも取り入れられて読みやすい。

 

科学読物研究会

会員

西村寿雄

 

1936年生まれ。「子どものための科学の本の研究、普及」を目的に活動する科学読物研究会(1968年発足/現在の会員は280名)の古くからの会員。

 

仮説実験授業研究会、地学団体研究会に所属。大阪国際児童文学館協力員(現:大阪府立中央図書館専門協力員)。

 

各地の図書館行事などで「科学読み物」の普及に努める。著書に『大人も読んで楽しい科学読み物90冊』(2009/04 近代文藝社)、『地球の発明発見物語』(2010/12 近代文藝社)、『ウェゲナーの大陸移動説は仮説実験の勝利』(2017/1 文芸社)、『石はなにからできている?』(2018/09 岩崎書店)